1€(ユーロ)≒171円
コソボ1日目、プリシュティナ1日目
14時45分。アテネのテッサロニキから国境を越え、一気にコソボの首都プリシュティナへ到着した。
コソボという国
コソボはヨーロッパで最も新しい国といわれているので、興味を持って訪れてみた。
地図で見ると国境線が点線で描かれていて、中米のベリーズと同じような表記になっている。これは、国境の位置や国としての承認をめぐっていまだ揉めていることを示している。

コソボは旧ユーゴスラビアの一部で、かつてはセルビアの自治州だった。1998〜1999年のコソボ紛争では、セルビア軍の攻撃によって大量の難民が発生し、最終的にはNATOが空爆を行ったことでセルビア軍は撤退。その後、2008年にコソボは一方的に独立を宣言したが、セルビアはいまも独立国家として承認していない。
国際社会では100以上の国がコソボを国家として認めている一方で、承認していない国も存在する。そのため、セルビア⇔コソボへ間の移動はややこしく、パスポートにスタンプが押されなくて、後で揉める、揉める。
そこで今回は、北マケドニア側からコソボに入国するルートを選んだ。ちなみに日本はコソボを国家として承認しているので、日本人は、ここでは胸を張って旅ができる。

駅から歩いてすぐ、早速アルバニアの国旗。コソボの人口は約95%がアルバニア系の人々だ。
やっぱアルバニア人とセルビア人って歴史上、仲悪いよね。
バスターミナルから市内まで

暑い。バスターミナルから市内までは影ひとつなく、歩いて行くのは無理だ。
10分ほど歩くと、飛んでいるフリーWi-Fiをキャッチできたので、経路を調べて最寄りのバス停から宿までバスで行くことにした。「4番か3番のバスに乗る」とGoogle先生は教えてくれたのだが、来た3番のバスに乗ると全然違う方向に走り出した。どうやら3番には3aなど色んな系統があるらしい。
焦っていると、チケット回収のおっちゃんがやってきた。しまった、ATMでコソボの現金を下ろすのを忘れていた!
「ごめん、ユーロしか持ってないんだけど」と言うと、「は?0.5ユーロだけど。」と言われる。
そうか、コソボってユーロなのか。岐阜県ほどの大きさの国なのに。理由はモンテネグロと同じで、紛争後に自国通貨を信用できない状況になったから、1999年に安定した外貨を使う必要があり、ドイツマルクを導入していたからだそうだ。
1999年にドイツマルク導入 → 2002年ドイツマルクがユーロに変わった → コソボもユーロ使用。
Center House Hostel
バスを降り、再びフリーWi-Fiが飛んでいる場所まで歩いてから、次のバスに乗った。

ホステルはこのビルの最上階にあった。プリシュティナで泊まれる宿は、もうここしかないだろう。
とにかく雰囲気が自宅のようで、ヨーロッパで一番快適かもしれない。GoogleMapの口コミも脅威の5.0だし、料金はほぼヨーロッパ最安値の6.5€。

ホステルに着き、下のゲートのインターホンを鳴らすと、中にいた宿泊客が1階のセキュリティを解除してくれた。オーナーは外出中らしい。Wi-Fiに繋いで、Booking.com経由でオーナーに連絡した。
靴を脱いで上がると、自宅のリビングのような部屋が2つ。エアコンはずっと点いていて快適だ。バスルームは少し古かったけれど、洗濯機が無料で使えるのは嬉しいポイント。

清潔なキッチン。器具もかなり揃っている。

男女共用ドミトリー。オーナーは若いご夫婦で別の場所に住んでおり、朝と夕方に清掃にやって来る。
ドアを開けてくれたのは、ここが居心地よくて4泊している、ぽっちゃり目の韓国人男性だった。映像プロデューサーらしく、日本の映画監督の話などをした。半年旅をしているがそろそろ資金が尽きるので韓国へ戻るという。1年半旅をしていると聞くと、彼は驚いていた。
とにかく彼は人がよく、その雰囲気が全面に出ていた。新しい宿泊客がホステルのチャイムを鳴らすたび、不在のオーナーの代わりにゲートを開け、世話を焼いている。
「日本に行った時に少し日本語覚えたんだ」と、はにかみながら片言の日本語で話す様子もかわいい。いいなあ、こういう人。しかしかなり年下なんだろうな。
後日、キルギスの宿で一緒だった人から、「それってこの人ですか?僕、エジプトで友達になったんですけど」と写真が送られてきた。写っていたのは彼だった。世界って、本当に狭いなぁとつくづく思う。
Sarajeva Steak House(
国境を2本越えたので疲れた。インスタで紹介されていた近所のステーキ屋へ行ってみる。

同じような旅をしている世界一周の人のインスタだったのだが、お店に入ってみたらかなり高級店っぽそうだ。一体いくら取られるんだろうと入ったことを後悔した。

メニューはかなり品数がありどれを頼んでいいかわからない。インスタに載っていた「キョフテ」を頼む。

ハンバーグ系のミンチ肉はあまり好きではなかったが、これはハーブの味付けにヨーグルトチーズソースでかなりパンチのきいた味で美味しかった。サラダ、ポテト、パンまで無料でついてくる。
恐る恐る会計をしてみたら、キョフテ4.5€、ビール2.5€だった。
目を疑った。昨日までギリシャにいて一皿13€とかだったから。こんな高級そうなお店でたったそれだけしか取らないの??連泊して他のメニューも食べたかったな。
The Sun – Thai Massage

ここ最近ずっとスーツケースをゴロゴロ引きずっていたので、全身が筋肉痛だ。
たまには贅沢もいいだろうと、タイ式マッサージへ。モロッコのマラケッシュ以来だ。
施術してくれたタイ人の女の子は全く英語が通じなかったが、めちゃくちゃ強めにほぐしてくれて気持ちよかった。オイル全身マッサージ1時間で35€。日本と変わらない金額で、コソボの物価からするとちょっと高め。
夜は、韓国人の彼がかなりのムードメーカーで、彼を中心にオーナー夫婦や宿の人たちが会話していた。本当に会話に入りたかったのだが、朝からの国境越えやマッサージ、ビールにシャワーと疲れが重なり、眠すぎて先に寝てしまった。少し、いや、だいぶ後悔。
次の日。プリシュティナを観光する。

モーニングセットが1€。ここに長くいたらお金を使わなくてすみそうだ。

アメリカが(NATO経由で)セルビアを爆撃したので、コソボはアメリカと仲がいい。コソボとセルビアの関係は現在もぎくしゃくしている。アメリカは紛争時にコソボ側を支援した。セルビアはロシアと仲が良かったから。

独立宣言モニュメント。

マザーテレサ教会。マザーテレサはインドの人ではなく、出身はこの辺りの地域らしい。明日から行く北マケドニアにも博物館がある。

中のステンドグラスにもマザーテレサの生涯が。

コソボ国立大学図書館。未来の要塞みたいでかっこいいな。

中はこんな感じ。たいして本は置いてなさそうなのが気になる。

廃墟になったセルビア正教会。まあ、このあたりに住んでいるのはほぼアルバニア人だから、今ではほとんど使われていないらしい。
この国では、ちょっとこの辺りの話題には触れない方がいいだろうな。

ところどころに意味不明な銅像があるのだが、いきなり道に置かれているこの銅像は、皆気になるようで、インスタでよくアップされていた。憂いのある表情が人を惹きつけるのだろうか。

コソボ博物館。なんと無料だ。

中には日本のと同じような埴輪が。遠く離れているのに同じようなものが出土してるなんて。

階段の踊り場には、ホッチキスの芯だけで作られたマザーテレサのタペストリーがあった。笑っていれば幸せだよ、というメッセージなのだろうか。
宿に戻ると、韓国人の彼が「モンテネグロへ行く」とチェックアウトするところだった。いつも部屋にいてレセプション役みたいだったので、いなくなると急に寂しい。またどこかで会えたらいいな。
代わりにチェックインしてきたオランダ人のおじいちゃんは、今度は私を気にかけて優しく接してくれた。
宿が居心地いいので長居したいところだが、プリシュティナの観光地はもう見て回ってしまった。そう、期待して来た割にはあまり見るべきものはない。明日は、昨日通り過ぎた北マケドニアに移動する。
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